ビジネスで成功するための重要な指標として「KGI」と「KPI」というものが広く活用されています。KGI(Key Goal Indicator)は、目標を達成するために必要な指標で、KPI(Key Performance Indicator)は、その目標を達成するために行うべき具体的な業務遂行の成果を測定する指標です。例えば、KGIは「1年間に売上を10%増やす」、KPIは「1日に10件の注文を処理する」といった具体的な数字になります。
KGIやKPIは、主に企業や組織で活用されているものですが、個人がネットビジネスに取り組む場合にも、こうした考え方を理解しておくことは大切です。目標を設定し、そこに至るチェックポイントをひとつひとつクリアしていく考え方は、ビジネスにおいても、受験勉強などの日常生活においても普遍的に役立つものだからです。
ちなみに、KGIは初心者さんにもわかりやすいと思いますが、KPIは少しわかりにくく感じるかもしれません。そこで、この記事では、特にKPIに着目し、掘り下げて考えてみたいと思います。KPIを正しく理解し、活用できるようになれば、最短最速で成功へと近づけるはずです。
KPIの基礎知識
目標を達成するために大変重要な指標となる「KPI」ですが、KPIを適切に設定するためには、KPIの種類や設定方法、測定方法について正しく理解しておく必要があります。ということで、KPIの基礎知識について解説します。
KPIとは何か?
KPIとは、Key Performance Indicatorの略称であり、ビジネスパフォーマンスを測定するために設定される主要な指標です。KPIは、企業や組織のビジネス目標に対する進捗状況を把握するために使用され、目標に向けた取り組みや改善策を立案するうえで重要な役割を果たします。
KPIには、例えば、売上高、利益率、市場シェア、顧客満足度など、多様な種類があります。また、KPIは、それぞれの業界や企業の事業目標に応じて設定されます。たとえば、小売業においては、販売数や商品の回転率がKPIとして設定されることがあります。
KPIを設定することにより、目標達成のために必要な情報を集めることが可能になり、ビジネスパフォーマンスの評価や改善に役立ちます。しかし、KPIを適切に設定するためには、目標との関連性や測定可能性、経営戦略との整合性などを考慮する必要があります。
KPIの種類
KPIには、以下のような種類があります。
- アウトプット型KPI
アウトプット型KPIは、事業の結果を示す指標であり、例えば、売上高や利益率などが該当します。アウトプット型KPIは、事業成果を直接評価するために用いられ、経営層や投資家からも注目されます。 - アクティビティ型KPI
アクティビティ型KPIは、特定の活動の成果を示す指標であり、例えば、電話応対数やメール返信時間などが該当します。アクティビティ型KPIは、個々の業務の効率性や改善の必要性を評価するために用いられます。 - クオリティ型KPI
クオリティ型KPIは、製品やサービスの品質を示す指標であり、例えば、不良品率やクレーム件数などが該当します。クオリティ型KPIは、製品やサービスの品質改善のために用いられます。 - タイムリー型KPI
タイムリー型KPIは、特定の期間内に行われた活動や成果を示す指標であり、例えば、月次売上高や週次アクティビティ達成率などが該当します。タイムリー型KPIは、業務の進捗状況を把握するために用いられ、目標の達成度合いを判断する上で重要な役割を果たします。
これらのKPIの種類には、ビジネスにおいて重要な情報が含まれています。KPIを適切に選定することで、企業や組織の目標に対して効果的な評価と改善策の立案ができます。
KPI設定の重要性
KPI設定は、企業や組織にとって非常に重要です。以下に、その理由を示します。
- 目標達成のために必要
KPI設定は、目標達成に向けた進捗状況を把握するために必要な指標を定めることです。KPIを設定することで、業績や成果を測定し、目標達成に向けた取り組みや改善策を立案することができます。 - 意思決定のための情報提供
KPIは、ビジネスパフォーマンスを測定するための指標です。適切なKPIを設定することで、経営者や管理者は、企業の業績や成果を定量的に把握することができます。これにより、意思決定のための正確な情報を提供することができます。 - チームのモチベーション向上
KPIは、個人やチームの業務の目標設定にも利用されます。目標が明確であれば、個人やチームのモチベーションが向上し、より高い業績を発揮することができます。 - 組織全体の方向性を示す
KPIは、企業や組織のビジョンや戦略に沿った指標を設定することができます。これにより、組織全体の方向性を明確にすることができます。
以上のように、KPI設定は、目標達成や意思決定のための情報提供、モチベーション向上、方向性の明確化など、企業や組織にとって非常に重要な役割を果たします。
KPIの設定方法
適切なKPIを設定するために必要なプロセスや考え方について解説します。適切なKPIを設定することで、企業や組織の目標達成や成果向上に貢献することができます。ということで、KPIの設定方法について具体的な手順を紹介し、実践的なアドバイスを提供します。
目標設定とKPIの関係性
目標設定とKPIは、密接に関連しています。目標設定は、企業や組織が達成したいと考える結果や成果を定量的に明確化すること。KPIは、その目標を測定するための具体的な数値指標です。具体的には、目標を設定する際には、次のようなステップが考えられます。
企業や組織が達成したいと考える結果や成果を、具体的な数値目標として定量的に明確化することが重要です。例えば、売上高を増加させることや、顧客満足度を向上させることなどが目標として挙げられます。
目標達成に必要なアクションを洗い出し、具体的な手順を考えることが重要です。例えば、売上高を増加させるためには、新しい製品の開発や、営業活動の拡大などが考えられます。
アクションを実行するために必要な数値指標を、KPIとして明確化することが重要です。例えば、新しい製品の開発には、開発期間や開発費用、製品の完成率などが、営業活動には、営業活動の回数や営業成果などが、それぞれのKPIとして考えられます。
設定したKPIを定期的に評価し、目標達成に向けた取り組みを進めることが重要です。KPIの評価結果に基づいて、目標達成に向けた戦略の見直しや、改善策の検討を行い、KPIを達成するための取り組みを進めることが必要です。
このように、目標設定とKPIは、目標達成のために密接に関連しており、相互に影響しあっています。目標を設定する際には、KPIを意識して具体的な数値目標を設定することが重要です。また、適切なKPIを設定することで、目標達成に向けた進捗状況を把握し、改善策を打ち出すことができます。
SMARTの法則を用いたKPIの設定
「SMARTの法則」は、目標やKPIを設定する際に、目標の具体性や達成可能性を高めるための基本的な考え方です。以下に、SMARTの法則を用いたKPIの設定の説明をします。
- Specific(具体的)
KPIは、達成したい目標を具体的な数値目標として明確に定めることが必要です。例えば、目標として「売上高を増加させる」という場合、具体的な数値目標として「前年比10%増加させる」というように、明確な数値目標を設定する必要があります。 - Measurable(測定可能)
KPIは、定量的に測定可能であることが重要です。例えば、目標として「顧客満足度を向上させる」という場合、具体的なKPIとして「アンケートでの顧客満足度を80%以上にする」というように、測定可能な数値目標を設定する必要があります。 - Attainable(達成可能)
KPIは、現実的な目標として設定されることが重要です。目標が達成不可能な場合、モチベーションの低下や失敗の感情を引き起こす可能性があります。KPIは、目標を達成可能な範囲内で設定することが必要です。 - Relevant(関連性)
KPIは、目標に関連することが必要です。例えば、目標が「顧客満足度を向上させる」という場合、KPIは「アンケートでの顧客満足度を測定する」など、目標と直接関連するものを選ぶ必要があります。 - Time-bound(期限)
KPIは、期限を設定することが重要です。期限を設定することで、目標に向けた取り組みが具体化され、モチベーションの向上やスケジュールの調整につながります。例えば、目標として「年度内に売上高を10%増加させる」という場合、期限を「年度末まで」と設定することが必要です。
以上が、SMARTの法則を用いたKPIの設定の説明です。KPIを設定するときは、SMARTの法則を意識しつつ、より具体的かつ実現可能な目標に向けた取り組みにつなげてください。
KPIの階層構造と重要性
KPIの階層構造とは、ビジネス全体の戦略目標から、部門や個人の目標に至るまで、組織全体で必要なKPIを段階的に設定することです。この階層構造により、ビジネスの目標から、個々の従業員が実行する業務に至るまで、目標設定が統一され、全体最適化が図られます。例えば、ビジネス全体の目標が「売上高を10%増加させる」と設定された場合、その目標を達成するために必要な部門の目標や、個人の目標が設定されます。その際に、部門や個人の目標がビジネス全体の目標に直接つながるKPIであることが重要です。
また、KPIの階層構造は、組織の構造によって異なる場合があります。一般的には、ビジネス全体の戦略目標から、部門、チーム、個人など、上位の目標から下位の目標へと続く形でKPIが設定されます。KPIの階層構造を明確にすることで、各部門や個人がどのような目標を持ち、どのような責任を持っているのかが明確になります。また、階層構造に沿ってKPIを設定することで、上位の目標を達成するために必要なアクションや、各部門・個人が担当する業務についても明確化され、全体最適化が図られます。
KPIの階層構造は、組織の目標達成において非常に重要であり、明確なKPIの階層構造を設定することで、組織全体の効率的な目標達成が可能となります。
KPIの測定方法
KPIを設定したら、次はそのKPIをどのように測定するかが重要になります。KPIを正確に測定することは、ビジネスの進捗状況を正確に把握し、改善点を見つけるために必要不可欠です。ということで、KPIを測定するための具体的な方法や、注意すべきポイントについて説明します。
KPIの測定方法の種類
KPIの測定方法には、大きく分けて3つの種類があります。
- マニュアル計測法
手動でデータを収集する方法です。例えば、紙やエクセルシートを用いてデータを集計する方法があります。人的ミスが発生しやすく、時間と手間がかかるという欠点があります。 - セミオートメーション計測法
ツールやシステムを使用して、データを自動で収集する方法です。手動計測法に比べて正確性が高く、時間と手間を削減できるため、より効率的な方法となります。しかし、システムの導入や保守にコストがかかることがあります。 - フルオートメーション計測法
特殊なソフトウェアやツールを使用して、完全自動でデータを収集する方法です。高い正確性と効率性がありますが、システムの導入・保守に高いコストがかかることがあります。
適切な測定方法を選択することで、KPIの正確な測定を実現し、ビジネスの改善につなげることができます。
データの収集方法
KPIを測定するためには、まず必要なデータを収集する必要があります。データの収集方法には、以下のような方法があります。
- 手動での収集
マニュアル計測法に基づく手法で、エクセルや紙にデータを記録する方法です。人的ミスが生じやすく、時間と手間がかかるため、あまり推奨されません。 - 自動での収集
システムやツールを使用して、自動的にデータを収集する方法です。例えば、Google AnalyticsやCRMツール(顧客管理を一元的に行うためのツール)などが挙げられます。正確性が高く、手間や時間を削減できるため、より推奨されます。 - サーベイ
アンケートやインタビューなどを用いて、データを収集する方法です。主に顧客のニーズや満足度などを把握するために用いられます。正確性はやや低くなりますが、人的な要素を含めたデータを収集することができます。
データ収集には、それぞれメリット・デメリットがあります。適切な収集方法を選択することで、KPIの正確な測定を実現し、ビジネスの改善につなげることができます。
KPI測定の定期化と分析
KPIを設定したら、次に重要なのは定期的な測定と分析です。KPIの定期的な測定と分析は、ビジネスの成長に欠かせない要素であり、以下のようなメリットがあります。
- ビジネスの状況把握
KPIの定期的な測定により、ビジネスの状況を把握することができます。KPIが目標値に近づいているか、それとも遅れているかなど、状況を把握することができます。 - 問題の早期発見
KPIの定期的な測定により、問題を早期に発見することができます。例えば、顧客の離脱率が増加している場合、その原因を探り、改善策を講じることができます。 - 成果の可視化
KPIの定期的な測定により、ビジネスの成果を可視化することができます。成果が目標値に近づいている場合は、チームや経営者に報告し、共感を得ることができます。
KPIの定期的な測定と分析は、自動化することが望ましいです。例えば、Google AnalyticsやCRMツールなどを活用して自動で測定できるような環境を整えましょう。また、測定結果はダッシュボードやレポートなどで可視化し、分析することができます。これらの情報を元に、改善策を講じることができ、ビジネスの成長につなげることができます。
まとめ
KPIの設定と測定について、いくつかの重要なポイントをご紹介しました。KPIはビジネスの目標を達成するために必要不可欠なものであり、設定する際には、目的に合わせた具体的なKPIの選定、SMARTの法則の適用、階層構造の設定などを行う必要があります。また、KPIの測定には、定期的な測定や自動化が必要であり、分析にも力を入れることで、ビジネスの成長につなげることができます。
ちなみに「KGI」とか「KPI」といった専門用語が出てくると、難しく感じてしまうものですが、ようするに「大きな目標」を決めて、そこに至る「小さな目標」を段階的に設定するといったシンプルな話です。個人でネットビジネスに取り組む場合にも、今回お話ししたようなやり方がヒントになるはずです。あなたの目標は何でしょう? そのために何をやればいいでしょう? まずは、そうしたことを考える時間をとることが大切ですね。